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05
Feb.2016
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All About iZotope ~ 革新プロダクトを送り出すブランドの素顔 ~ Vol.3

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MiMグローバルインタビューでは、先進的かつ野心的にサウンドの未来を探る人物、企業へインタビューを行いその発想の泉を探ります。Vol.2でお伝えした素晴らしいオフィス空間。加えて、スタッフのプロフェッショナルながらもオープンなパーソナリティはiZotope製品の独創性とリンクし、素晴らしい印象でした。最後に、私たちはリサーチ部門のマネージャー、Aaron Wishnick氏にお話をお伺いし、iZotopeが将来の製品についてのアイデアをどのように育んでいるのか、また、Ozone7に新たに搭載されたビンテージ・プロセッシングの開発秘話についても聞くことができました。

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Rock oN : Aaronさん、よろしくお願いします! 御社ではリサーチ部門を持っていることが特徴の1つだと思いますが、あなた自身の考えはいかがでしょうか?

Aaron Wishnick氏(以降、Aaron氏) : リサーチ部門は開発部門から完全に独立したセクションで、非常にいい働きをしてると思います。当初、私はここでDSPエンジニアとして働いてきましたが、もっぱらDSPのことばかりやっており、インターフェースなどの他の機材について詳しいスタッフはいませんでした。様々な専門分野を持つスタッフが集まる部署が出来たのはいいことです。必要になるのは数年後になるだろうと思われる分野についても調査研究をする機会を持たせてもらってます。1つのプロダクトにしばれることなく、会社の戦略に関わる部分で仕事をしてると言えます。

Rock oN : リサーチするテーマは、どなたが決めているのでしょうか?

Aaron氏 : ケースバイケースですね。半分くらいは開発部門から要望を受けたものです。逆にこちらから開発部門にアイデアを出すこともありますよ。私たちのチームでは、勤務時間の半分は自由に調査研究に使っていいことになっています。もちろん、できるだけ会社と関係のあるものですが。おかげでスタッフが新しいことを発見し、新製品の開発に一役買ったりすることができています。

Rock oN : リサーチの対象はオーディオ信号のプロセスだけでしょうか? iZotope製品の特徴であるユーザーインターフェース/ビジュアル部分もリサーチの対象でしょうか?

Aaron氏 : 創立者たちと同様、私たちのチームもデジタル信号の専門家が多いですが、コンピューター・サイエンス全般に精通しているスタッフも何人かいて、ビジュアル面でもとても貢献してくれています。

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midashi_vol3_02izotope-ozone-7-box-and-uiRock oN : Ozone7に搭載されたビンテージ・エフェクトについて伺います。たくさんのビンテージ機材を調査されたと思いますが、その中から「この機体を使おう」という決定はどのように下されたのでしょうか?

Aaron氏 : ビンテージ機材をモデリングするにあたって重要なことは「音がいい」ということですので、まず音のいい機体を見つけます。そして、例えばそれがテープマシンであれば、新しいテープを買ってきたり、調整したりと、しっかり準備をしてからテストに臨みます。しかし、iZotopeでは単なるビンテージ機材のエミュレーションでは終わりません。エミュレーションも私たちのチームの仕事ですが、それは一部に過ぎません。1176を単にエミュレーションしただけのプロダクトはいくつもあります。しかし私たちは、1176、Urei LA-2A、APIコンプレッサーなどの複数の人気機種について、どういった特徴が素晴らしいサウンドの秘密なのかを研究しました。そして、それら複数のモデルを1つに統合したのです。iZotopeのビンテージ・エフェクトは特定のビンテージ機材の持ち味を得ることができる上に、とてもフレキシブルに使用することができます。

Rock oN : 「いい音」の機材を見つけたとして、実際のモデリングはどのようにして行われているのでしょうか? 回路までご覧になっているのでしょうか?

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Aaron氏 : 10年前は一般的な手法として、信号を測定していました。例えばEQがあったとしたら、その機材に音を通して、出てきた信号を測定していたのです。しかし、その方法では1つのパラメーター設定時の音しか測定できません。測定されなかったパラメーターはモデリングされないという結果になってしまいます。対して、私たちはとても正確な方法を取るために回路基盤をチェックします。基盤には抵抗やコンデンサーなどのアナログ素子がありますよね。これらの部品について、○○社製のコイルがどうで、xx社製のトランジスタはどうか、ということを私たちは知っています。言ってみれば機材の内部で、何が起こっているのかをエミュレーションするのです。これが私たちのモデリングに対する基本的な姿勢です。

Rock oN : とても大変な作業だと思いますが、回路をエミュレーションしただけで本物と同じサウンドになるものなのですか?

iZotopeM_72__1Aaron氏 : 基本的には同じ音になります。ただ、その質問にはとても意味があって、回路のモデリングをするだけでなく、実際の音も聞いていますし、回路のエミュレーションで上手くいかない時はサウンド・デザインのチームに頼んで実際の音に近づける作業をします。特にテープのエミュレーションは非常に難しいです。私たちは回路がどのように動作しているか、テープ・マシンの内部で何が起こっているかは理解しています。しかし、テープやヘッドなど、テープ・マシンは物理的に非常に複雑で、電磁気学の知識が求められることもあります。ある朝、スタッフが遅れてきたのでどうしたのかと尋ねたところ、MITの図書館で電磁気学の本を読んでいた、ということもありました。

Rock oN :Ozoneの技術的な面について、もう少し質問を続けますね。OzoneのIRC I〜III のパラメーターは、それぞれ何をコントロールして、特徴あるサウンドを作っているのですか?

Aaron氏 : IRCのアルゴリズムは、レベルが規定以上にオーバーすることを防ぐために、音声信号に対してゲインエンベロープを適用します。このエンベロープの形状に起因して、歪み(倍音付加)やパンピングが発生してしまうことがありますが、IRCアルゴリズムはそういった現象を可能な限り最小限にする最良のエンベロープを選択するように出来ています。また、IRC IVにおいてはゲインエンベロープに加え、様々な周波数帯域においてスペクトラルをシェイプする動きをします。そうすることで、クリッピングを引き起こしてしまう帯域を減少させますが、その動きはターゲットとする帯域以外でパンピングを起こすことがないように行われるんです。

Rock oN: プロのエンジニアでないユーザーがOzoneで最高の結果を生むために、数あるパラメータの中で優先して触る箇所はありますか?

Aaron氏 : Ozone7には、スタートするにあたって最高なプリセットが付いてきます。「All-Purpose Mastering」フォルダー内のプリセットや、 いくつかの音楽スタイルに応じた「Genre Specific Mastering」フォルダー内のプリセットを試してみてください。

Rock oN : 本当に優れたプリセットの数々が搭載されていますが、これからさらにプリセットは充実しますか?

Aaron氏 : 現時点ではプリセット追加の公式アナウンスはしてませんが、何人かの著名ミュージシャンやエンジニアと組んで、Ozone7の新たなプリセットを作っているところですよ。

Rock oN : 開発にあたって、特にリサーチした他社製品はありますか? また、Ozoneを他社製品と差別化するために、1番特徴にしたのはどんな部分ですか?

Aaron氏 : 基準となるような特定の製品があった訳ではありませんが、Ozone7開発をインスパイアする意味で、Slate Digital、Waves、FabFilter、IK Multimedia、Universal Audioといったブランドから、沢山のプラグインを参考にしました。Ozone7の特徴は、含まれる全てのモジュールに驚くべき価値があるといった基本的な事実に加え、オールインワンのマスタリングソリューションであるということです。単に、あなたの音楽をマスタリングするツールを提供するということだけでなく、1つの完備したパッケージを手に入れることができます。個別のプラグインを組み合わせ、自分のマスタリング用セッティングを時間をかけて構築するよりも、Ozoneのプリセットマネージャーを使えば、プロレベルのマスタリングシグナルフローを素早く構築し、作業を開始することができます。

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Rock oN : では、次はRXについてお聞きしますね。他ノイズリダクション製品とのアルゴリズム上の差異は何でしょうか?

Aaron氏 : 他製品との大きな差異化の要素として、私たちの製品で用いるスペクトル写真がハイクオリティーであるということがあります。一般的に、音声信号の問題箇所をビジュアル化するにあたって、波形よりもスペクトル写真の方が、かなり優れたやり方です。私たちのスペクトル写真では、ソフィストケートされた技術を用いることで、時間軸、周波数軸の双方において、音声信号に潜むたくさんの情報を明確化することができます。私たちのアルゴリズムのクオリティーの高さ、また、深いところまでコントロールできる能力、これらが私たちの製品を他と違ったものにしています。

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Rock oN : Spectral Repearはどのように音声解析を行っているのですか?

Aaron氏 : Spectral Repairは様々な技術を採用してますが、幾つかは画像解析から借りてきたものです。
Spectral Repairが内部で用いる描写技術は、概してスペクトル写真です。この技術の一部は iZotopeによる 「Parametric Interpolation of Gaps in Audio Signals.(音声信号におけるギャップの変数的補間)」という資料にまとめられていますのでご覧ください。

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製品のサウンドテストや、プリセットの設定等も行われるiZotope StudiosはVol.2でレポートしています

Rock oN : Dialogueの認識方法はどのような仕組みなのでしょうか?

Aaron氏 : また、詳細を明らかにできない質問なので漠然とした答えになりますが、まず、オーディオファイルの一番静かな部分を探し、ノイズフロアを覚えます。次にそのノイズフロアよりも大きな部分をダイアログとして決定する仕組みです。

Rock oN : リバーブ除去は、実際には、どのような成分を取り除いているのですか?

Aaron氏: Reverb removalは、いわゆるリバーブ成分の「リバーブテイル」を除去しますが、Denoiserと似たスペクトラル減算アルゴリズムを使い、テイルの部分がどの部分になるかを見定め特定し、「リバーブテイル」部分を削除します。

iZotopeM_6__2Rock oN : 開発者としてどのような利用方法を推奨しますか?

Aaron氏 : Principal DSPエンジニアであるAlexey Lukinは、開発者という立場で、波形統計、スペクトラム解析、チャンネルオペレーション、信号生成モジュールの測定用としてRXをよく使います。

Rock oN : 開発者のみぞ知る、こんなことも出来る!という使い方は有りますか?

Aaron氏 : 引き続きAlexey Lukinは、ノイズを取り除くために、DenoiserだけでなくRXの Channel OpsとDeconstruct モジュールをよく使います。その他にもRXは、法医学者が事件証拠を扱うために使ったり、天文学者が星を探すためにも使われています。一般的なオーディオの問題解決に対して適したツールであることを示すフローチャートを添付しましたので、見てください。

Rock oN : たくさんの細い質問に、ご丁寧に答えていただいて大変ありがとうございます。日本にもたくさんいるOzoneやRXユーザーにとって、大変興深いお話がお伺いできたと思います!

最終的に、CEOまで含め計4名のキーパーソンにお話をお伺いすることができた貴重なインタビュー。“All About iZotope”と言ってもいいくらいの充実した内容をお届けできたと思いますがいかがだったでしょうか? お話をお伺いしたいずれもの人から感じたのは、「優れたテクノロジーを有する」論理的で厳密な側面と、「すべてはクリエイティブのため」といった柔らかな発想の側面のバランスの良さ。あくまでも、製品を使う目的は「人を感動させる作品を生み出すため」といった信念が、創業時から今まで変わらず、ブレずに続いているという空気を感じました。

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    記事内に掲載されている価格は 2016年2月5日 時点での価格となります。

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